MIとコミュニケーション能力の向上

【トレーニングによって共感力を手に入れる】

 対人援助・ヒューマンサービスという仕事は「感情労働」ともいわれており,とても消耗する仕事です。

専門職の職場の休職や離職がいまだに減少に転じていないことから,質の高いサービスや援助を提

供し続けるためには,自分自身でストレスへ対処できる能力を身につけることと,来談者やクライアントに巻き込まれることなく、共感する能力が必要不可欠でしょう。

 動機づけ面接を身につけることで、来談者への共感力が高まるとともに、巻き込まれて疲労することが少なくなります。


職場内での人材開発


 職場内における強い悩み,不安,ストレスについて尋ねた調査結果から「職場の人間関係:第4位」となっており,自らのストレスマネージメントと併せてコミュニケーションスキルの向上が,元気で円滑に仕事を進める上で必要不可欠であることが明らかになっています。

(仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの有無及び内容別労働省割合:2012年厚生労働省 職場ストレスに関する健康調査より)

 

 動機づけ面接は、職場スタッフ間のコミュニケーションの改善にも効果的です。私たちの言語コミュニケーションはいくつものエラーが積み重なって,相互理解が充分にできないことがわかっています。動機づけ面接のトレーニングによって、そのコミュニケーションエラーを最小限にすることが可能です。

また,コーチングを導入しているものの、なかなか社員のやる気を引きだすことが難しいと苦労している場合には動機づけ面接を導入すると画期的に変わります。

 特に社内の中間管理職の「部下の育成プログラム」「後進育成プログラム」「人材育成プログラム」として有効です。


親子、家族間のコミュニケーション


 子育て支援の本をめくると,非認知能力,非認知スキルの獲得が重要,その中にはレジリエンスも含まれています。この「非認知能力」や「非認知スキル」には,「忍耐力」「社会性」「意欲」「生き抜くちから」というものが含まれます。最近,流行っている「GRIT」とも相通じています。

 

 そして,興味深いことにこれらの著書では,土台としてコミュニケーション能力の重要性が明確に述べられています。つまり,人は社会とつながりながら生きていくものですから,誰かと関わる,というのは生きぬく上で土台となります。そのため,コミュニケーション能力が高いことは,この世の中を生き抜く上で必要不可欠な要素といえるでしょう。

 

 このコミュニケーション能力のトレーニングとしても動機づけ面接は適しているといえます。

 私が大学教育の中で特にここ数年は動機づけ面接のスキルを学生にも伝えています。

 3か月もすると,コミュニケーションそのものが劇的に変わる学生が大半です。

 皆さんもぜひ、身近な人との関わり方からMIを活用してみませんか?